健康格差 第8章
担当:天久。タイトル:回復力のあるコミュニティを築くBuliding resilient community。resilienceとは、逆境的状況にもかかわらず生き抜く力、防御因子、抵抗力、復元力を指す言葉です。「なぜ同じような逆境的体験にもかかわらずPTSDになる人とならない人がいるのか?」という問いに端を発する精神医学・心理学由来の概念で、最近はコミュニティヘルスにも応用されています。「より広い社会においてSDHが存在するとしても、他の地域よりベターな健康状態になっている地域は何が違うのか?どんな実践がなされているのか?」、これをみて行きます。
社会的に住みやすいコミュニティをつくる
・首を吊ったメアリーの例(p227)
地域レベルによって起こるマイナス要素…犯罪、アルコール関連死、肥満、交通外傷、うつ病、空気・水の汚染に関連した健康被害、住宅問題。
地域レベルによっておこるプラス要素…社会的結束と社会参加、治安と犯罪への恐怖の少なさ、身体を使う移動、緑地の提供、歩きやすさ、健康に良い食品の入手しやすさ、良質なサービス
・犯罪は公衆衛生の課題(p230)
犯罪への恐怖感は身体的・精神的に悪影響。人々を孤立させている。
A:暴力の予防戦略
警官を目立つところに配置、ホコ天、遅くまで利用できる公共交通網
B:ギャング対策、アメとムチ*1
ムチ:犠牲者家族、負傷ギャングを治療した救急医、被害を被る地域住民、ギャング、警察での会議(警告)
アメ:総合窓口の相談ダイヤルで教育・医療・進路相談・社会福祉へのアクセスの保証、プログラム登録するとニーズ検討・職業機能訓練など。
社会的に持続可能なコミュニティづくりと回復力
・リバプール市のコミュニティグループが認識していること
コミュニティのエンパワメント=回復力を高める主導権をコミュニティが握っている。また、より広い社会にSDHがあるとしても、コミュニティのレベルで不平等は軽減させられる。
・シアトルの好例 Communities that Cure, シアトル社会性発達プロジェクト (p236)
学校に通う子どもに対し、コミュニティの人々と家族、学校が連携して、若者への適切な行動を育成する。
成果:薬物、アルコール、たばこ、複数人との性交渉歴の減少、避妊具の使用増加、犯罪関与の減少、精神疾患率の低下。
CTCのモデル http://thurstontogether.org/Who-We-Are/Our-Model
課題:著しい貧困などの社会的条件の不平等なコミュニティで、回復力を高めることは有効か?
→第4章にあるように、貧困や排除に伴う危険の軽減および回復力の強化が必要
介入例
・アボリジニの囚人人口率と社会的不公平の極端な勾配、また伝統文化との共存
・マオリ族の地域共同センター。おばあちゃんが始めたケイパビリティの構築
・環境の質@屋内 屋内で煙をたくのは健康に悪い。
・環境の質@屋外 北京のスモッグ問題。高所得国では社会階級の低い層が悪影響を受けやすい。
・緑のある暮らし 所得階層によって外出方法にバラエティがある。(運動だけでなく治安含む)
・高齢者にやさしいまち ・・・第7章
・住居 コミュニティの形成、清潔な環境
担当疑問:エンパワメントにつながる文化継承ってなんだろう?
#天久 名古屋人、三河人であることを推したら健康になる? うーん。
#東 日本という単位でやるとして、日本食とかなら…。7章で取り上げた地中海食と似たようなもの。ただ、そのままだと塩分と炭水化物が多い。
#東 コミュニティの結束をしたいなら、公共財をテーマにするのがわかりやすいと思う。近所にドブ川の堀川があるのだけど、クリーンアップ作戦を住民がやっているみたい。地域単位で落書きを消して回るとかも効果あるんだっけ(本当なんかしら)。今度の沖縄も県の歴史を参照しつつ結束力を増そうとしているところがある。