健康格差 第7章(福井👓チーム)

5/26 (火) 20:00~

 

鈴木・加藤

 

長らくお休みしていた読書会を再開する。

 

おとなしく流されてはいけない 

 【第1節】

「老年期は恐ろしい時期だ。貧しく、惨めで、社会から孤立し、知力と体力が低下し、社会での役割を失う。」(p.199 l.5)

このような描写は、間違ってはいないが、不適切で誤解を招くとしている。

(p.200 l.7)ブラジル・マリアの証言

3つのエンパワメントは、6章の仕事が健康を害する3つの経路(物質的・心理社会的・財政的)に類似する。

健康をつくるのも、害するのも、同じような要因だということなのだろう。

 

【第2節】北半球の高齢者、南半球の高齢者?

昔は南半球には若者が多く、北半球には高齢者が多かったが、今は急速に変化している。

フランスの65歳以上・・・1865年7%⇒1980年14% 115年で2倍に。

フランスで115年かけて起きたことがブラジルでは21年で起きると予測されている。

「北半球は歳をとる前に豊かになったが、南半球は豊かになる前に歳をとっている。」(p.202 l.9)

人口の高齢化は喜ぶべきことだ。高齢者は社会貢献も多分に出来る。

 

【第3節】寿命の著しい不公平・・・国家間の

60歳まで健康であれば、その後も健康である。

60歳まで生きた日本人女性は平均して29年生きる。対してイギリスは25年、アメリカは24年である。

対して差は無いように思われるが、著者らの計算では、「ある集団から虚血性心疾患を根絶したとしても、統計学的には余命を4年延ばすだけだ。」とある。

驚異的な数字なのだと感じた。

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【第4節】・・・そして国内では

それぞれの国内でも寿命の格差は存在する。

主に教育の差によって。

 

【第5節】人生の質の不公平

「最高学歴集団の75歳の人は、健康状態が良好な確率が最低集団の60歳の人と同じだった。」(p.209 l.20~p.210 l.1)

地位の高い人の出発点は、より高い水準にある。

老年期に入ると何も変わらないわけではないが、失うばかりでなく、得るものもある。

失うもの・得るものを考え、衰える速度を緩やかにしたら、老年期の健康の不公平を減らせるということだろうか。

「鍵となるのは、高齢者に権限を持たせて、社会のなかで居場所を持ち続ける権利を認めることだ。」(p.210 l.16)

 

【第6節】老年期の健康の公平を達成する

加齢は全員に起こる。それを受け入れて、多くの国で高齢者のかなりの割合が活躍していることを認めよう。しかし、不公平は存在する。

その不公平は最も恵まれた人々が享受している健康と機能の水準に全ての人を到達させること、すなわち底上げによって社会的勾配を縮小させよう。

老年期には出来ることは確かに限られてくるが、出来ることはたくさんある。とのこと。

多くの高齢者が活躍していることは理解しているが、その世界・業界に居座り続けるのは、若手やその業界の発展の芽を摘むことにならないのか、と思う。

 

【第7節】エンパワーメントー物質的、心理社会的、政治的

・物質的エンパワーメント・・・財産を通じて

世界人口のほんのわずかな割合に入る人は資産からの収益で暮らせるが、富裕国でも大部分は住居と年金しか持っていないし、それすら無い人も多い。

高所得国においてさえ、資産収入は老年期の貧困から抜け出す道ではない。

 

・・・仕事

「正規の引退年齢を過ぎても働き続けるか、社会が引退年齢を変えるべきである。」(p.214 l.14)

「一般に、高齢者の労働市場参加率が高いほど、若い人の就業率も高い。」(p.215 l.20)

健康寿命や平均余命が大幅に改善された昨今、定年退職年齢を引き上げてもいいのかもしれないと感じた。

 

・・・年金

現在100を超える国に社会的年金制度がある。

国が貧しければ、高齢者の貧困率は高いが、低所得国でも、高齢者が健康に暮らす前例がある。

 

・心理社会的ーコントロールとしてのエンパワーメントと尊厳ある参加

2つのアプローチがある。健康行動や生活習慣に影響を与える事と、社会参加である。

 

・政治的エンパワーメント

老い」は国によって、地域によって、人によって、定義が違う。

社会的には60ないし65歳と定義されているが、仕事のブロックの通り、現代は健康寿命が延びているので、社会的な引退を延ばしてもよいのではないかと思った。

 

【まとめ】

高齢者でも出来ることは多い。社会と関わることで、認知機能を維持できる。

また、子供と関わることによって相互に良い影響が生じる。

高齢者の在り方、働き方を変えることで高齢者の健康格差を縮めることができる。

これまでの章では「幼少期の生き方が大切」という内容だったが、老年期にできることが無いわけではない。

適切なアプローチがあれば、高齢者も社会において活躍できるので、物理的・心理社会的・財政的に介入していくべきである。