健康格差4章補足②:日本の体罰

小児期のマルトリートメントを扱った『健康格差』4章の補足で被虐待児のケアについてまとめたいのですが、その前に、先日セーブザチルドレンジャパンより「日本のしつけのための体罰等の意識・実態調査」が出ていたので、紹介しておきます(2万人に対するインターネット調査)。

 

http://www.savechildren.or.jp/jpnem/jpn/pdf/php_report201802.pdf

http://www.savechildren.or.jp/jpnem/jpn/pdf/php_report201802.pdf

 

どの項目も割とショッキングですね……。

体罰/しつけのために子供を叩くことをしてはならない派は4割、他に手段がないならしてもよい派が4割、必要に応じて・積極的にするべきが2割程度。

・「たたくこと」の内訳で、こぶしで殴る・物で叩く・加減せず頭を叩くは9割の人が「決してしてはならない」と思っている。お尻を叩く、手の甲を叩くは半数以上が容認。また、「怒鳴りつける」は6割が容認。容認度が高いほど、実際にたたいたり怒鳴ったりする。

・しかし、「決してしてはならない」派でも、一定数、たたく・怒鳴る。

・しつけのために叩く理由としては:問題行動をその場でやめさせるため2割、痛みを伴う方が子供が理解するから・口で言うだけでは子供は理解しないからが合わせて6割程度。

あたりは覚えておくとよさそう。

 

調査を見て思うに、この体罰容認文化のある日本で親御さんに「体罰ゼロ」を説得しようとしても、「そうでしょうけども」と思われて響かないかもしれませんね。

「子供にイライラすることは当然ありますよね、時間がないときに限ってイヤイヤ言いだしたり…」と共感を示して、「しつけをするな、と言うことではありませんが〜」と前置きしつつ、

「ここは怒鳴るところだ!、とカッとなったら、一回は深呼吸をする、ないし、30秒は待ってみるルールにしましょう」

「そして、しかるときは、1分以内に短く、CCQ(Close Calm Quiet)、どうしたらよいか具体的に教示することを意識しましょう」

といったことを紙に書きながら提示して手渡しするくらいが現実的かも。

……この流れ、一応、子育て未経験者の私見ではなく、先日拝聴した児童精神科専門医が話していた教えです(エビデンスレベル低いとか言うな)。自分でも将来使えそうだなあと思ったのでメモついでに書いておきました。いやしかし、アドバイスでどれだけ意識変容・行動変容するのかしら…。

(東)