健康格差 第9章(福井👓チーム)

8/7 (火) 13:00~

 

鈴木・加藤・蓑島(みのしま)

今回は岐阜の蓑島さんも加わり3人で行った。

 

公平な社会

【第1節】

ハイチ・チリ、アメリカ・イギリス、南アジア、東西欧州、中南米、日本等の国が例として取り上げられ、健康状態の明暗について紹介された。

比較された国々の歴史的な違いは健康格差に影響していないだろうか。

 

【第2節】社会ー右と左

イギリス政権の風刺、チリのピノチェト軍事政権等の例を挙げ、右や左に傾くと良好な健康を維持できないとしている。

『私たちに必要なのは、「〇〇主義」の旗を振ってバリケードに乗っかるよりも、個人の権利と公共分野の要請のバランスをどう取るかについて、根拠を検討することだ。』(p.260 l.5)

 

【第3節】学ぶ

うまくいっているものの例としてスウェーデン、うまくいってないものの例としてアメリカが挙げられ、良好な健康状態の理由を解説している。

・対象を絞る、資産調査付きの選別的政策ではなく、普遍的な社会政策(p.262 l.4)

最下層をターゲットにするのではなく、中間層も、最上層をも包摂した政策が必要だということだろう。

 

【第4節】お金と他の重要なこと

これまでお金以外の要素を解説してきたが、お金ももちろん重大な要素だ。

 

【第5節】世襲資本主義ーピケティ・スタイル

ピケティは「問題は、資産と所得の不平等の拡大と、将来、資産の多くは労働よりも相続によるだろうという事実。」(p.267 l.5)「所得の集中が米国経済を不安定化させた」(p.268 l.7)

「所得分配の最下層から最上層にお金が移動することで、消費が減退する。」(p.269 l.12)

その結果、総需要の減退は失業を生み、失業は不健康を引き起こす。そして更に不平等が増大すると思われる。

 

【第6節】社会の不平等は健康の不平等につながるーお金は重要だ

・・・なぜなら、お金は貧困層の貧しさを緩和するから

所得と資産の不平等は、健康の不平等につながる。

富裕層が所有しすぎれば、それ以外のすべての人は所有しにくくなる。

上位層1%は富の生産者であるから、取り分を増やしても問題ない。のか?否。

IMF「正味の不平等の削減は、より速くより永続的な成長と強く相関する。」(p.271 l.1)

不平等の削減は経済成長に欠かせない。

 

・・・なぜなら、お金は生活の改善に使えるからだ

「富裕層は課税に対して不寛容だ。」(p.277 l.11)

自分にプラスにならないと感じているからか。

 

比較的普遍主義

格差の削減といっても最貧困層だけに焦点を当てるのは危険である。

万人に普遍的な社会政策が求められる。

 

・・・なぜなら不平等は社会の結束を傷つけるからだ

格差はどの段階でも存在するが、初等教育しか受けていない人々より大学教育を受けた人々の方が格差の程度がはるかに小さい。

不平等は、富裕層の健康よりも貧困層の健康をより害する。

社会的、経済的な不平等が大きいと、貧困層・中間層・富裕層が違う世界に住むようになる。

学校、世帯構成、移動手段、スポーツジム、休暇、態度etc…を分離していく。

 

【第7節】社会階層と健康の関係は所得をはるかに超える問題だ

ヒヒと公務員という霊長類において社会的ステータスによるストレスマーカーの値を比較した。それはいずれも社会的勾配を示した。

意外であったのは、歴史的な事由により、オスの50%が殺されたヒヒの集団が社会階層に関連した攻撃的な行動が抑えられ、身づくろいのような親和的な行動が多く出現した、「思いやる」集団になったことだった。その集団はストレスマーカーも高くなかった。

「おもいやり」文化を自称する日本と比較すると、ヒヒの集団におけるオスの50%が殺されたのと同じような歴史的事象として、戦争が挙げらるが、戦前の日本が想像でしか語れないため、参考程度とした。

 

【第8節】社会の健康度も所得を超える問題だ

「何を持っているかは健康にとってそれほど重要ではないが、持っているもので何ができるかは重要だ」(p.284 l.2)(⇒第1章 ジミーとギータ)

国民所得が比較的低いにもかかわらず、良好な健康状態を達成している、キューバコスタリカ、チリを紹介している。

1955年にキューバの平均寿命は米国より10年短かったが、2011年に両国の平均寿命は同じになった。

同じような劇的な健康の改善がコスタリカ、チリでも起きている。

貧困対策、就学前教育や教育への高い投資、医療の提供を含む普遍主義的なアプローチが良好な健康状態を達成している要因なのではと筆者は推測している。実際にはわからない。

「なぜ1%の人の所得の暴騰を許容するのか」(p.287 l.12)

 

【まとめ】

・社会的結束(ソーシャルキャピタル)は大切なのだと思った。(簑島)

・普遍的な社会政策が必要である。

・お金は重要だが、使い方がより重要である。うまく使えないならば、やはり行政の介入が必要なのではないか。

・資産の集中の問題に関しては、私たちではどうすることもできないかもしれないが、資産の集中が健康の不平等を作り出すことは知っておかなければならない。

・(p.268 l.3)1928年にトップ1%は総世帯収入の23%を稼ぎ出していた。その後1929年世界恐慌

2007年には再びトップ1%が総世帯収入の23%を占めていた。その後2008年リーマンショック

何か因果関係があるのでは。

日本に置き換えると、バブル崩壊前はどうだったのだろうか。

・「公共政策と個人の自由の間で論争が続いており、後者こそ経済的成功への道だとみなされている。」(p.258 l.8)

「今、世界のこの地域のほとんどの国が自国民を制圧するために軍隊を持っていますが、私たちは教育や医療にお金を投資しました。」(p.286 l.6)

以上の”個人の自由”と”自国民の制圧”の2つはどこか関連しているように感じる。

 

【次回】8/14(火)13:00~

健康格差 第7章(福井👓チーム)

5/26 (火) 20:00~

 

鈴木・加藤

 

長らくお休みしていた読書会を再開する。

 

おとなしく流されてはいけない 

 【第1節】

「老年期は恐ろしい時期だ。貧しく、惨めで、社会から孤立し、知力と体力が低下し、社会での役割を失う。」(p.199 l.5)

このような描写は、間違ってはいないが、不適切で誤解を招くとしている。

(p.200 l.7)ブラジル・マリアの証言

3つのエンパワメントは、6章の仕事が健康を害する3つの経路(物質的・心理社会的・財政的)に類似する。

健康をつくるのも、害するのも、同じような要因だということなのだろう。

 

【第2節】北半球の高齢者、南半球の高齢者?

昔は南半球には若者が多く、北半球には高齢者が多かったが、今は急速に変化している。

フランスの65歳以上・・・1865年7%⇒1980年14% 115年で2倍に。

フランスで115年かけて起きたことがブラジルでは21年で起きると予測されている。

「北半球は歳をとる前に豊かになったが、南半球は豊かになる前に歳をとっている。」(p.202 l.9)

人口の高齢化は喜ぶべきことだ。高齢者は社会貢献も多分に出来る。

 

【第3節】寿命の著しい不公平・・・国家間の

60歳まで健康であれば、その後も健康である。

60歳まで生きた日本人女性は平均して29年生きる。対してイギリスは25年、アメリカは24年である。

対して差は無いように思われるが、著者らの計算では、「ある集団から虚血性心疾患を根絶したとしても、統計学的には余命を4年延ばすだけだ。」とある。

驚異的な数字なのだと感じた。

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【第4節】・・・そして国内では

それぞれの国内でも寿命の格差は存在する。

主に教育の差によって。

 

【第5節】人生の質の不公平

「最高学歴集団の75歳の人は、健康状態が良好な確率が最低集団の60歳の人と同じだった。」(p.209 l.20~p.210 l.1)

地位の高い人の出発点は、より高い水準にある。

老年期に入ると何も変わらないわけではないが、失うばかりでなく、得るものもある。

失うもの・得るものを考え、衰える速度を緩やかにしたら、老年期の健康の不公平を減らせるということだろうか。

「鍵となるのは、高齢者に権限を持たせて、社会のなかで居場所を持ち続ける権利を認めることだ。」(p.210 l.16)

 

【第6節】老年期の健康の公平を達成する

加齢は全員に起こる。それを受け入れて、多くの国で高齢者のかなりの割合が活躍していることを認めよう。しかし、不公平は存在する。

その不公平は最も恵まれた人々が享受している健康と機能の水準に全ての人を到達させること、すなわち底上げによって社会的勾配を縮小させよう。

老年期には出来ることは確かに限られてくるが、出来ることはたくさんある。とのこと。

多くの高齢者が活躍していることは理解しているが、その世界・業界に居座り続けるのは、若手やその業界の発展の芽を摘むことにならないのか、と思う。

 

【第7節】エンパワーメントー物質的、心理社会的、政治的

・物質的エンパワーメント・・・財産を通じて

世界人口のほんのわずかな割合に入る人は資産からの収益で暮らせるが、富裕国でも大部分は住居と年金しか持っていないし、それすら無い人も多い。

高所得国においてさえ、資産収入は老年期の貧困から抜け出す道ではない。

 

・・・仕事

「正規の引退年齢を過ぎても働き続けるか、社会が引退年齢を変えるべきである。」(p.214 l.14)

「一般に、高齢者の労働市場参加率が高いほど、若い人の就業率も高い。」(p.215 l.20)

健康寿命や平均余命が大幅に改善された昨今、定年退職年齢を引き上げてもいいのかもしれないと感じた。

 

・・・年金

現在100を超える国に社会的年金制度がある。

国が貧しければ、高齢者の貧困率は高いが、低所得国でも、高齢者が健康に暮らす前例がある。

 

・心理社会的ーコントロールとしてのエンパワーメントと尊厳ある参加

2つのアプローチがある。健康行動や生活習慣に影響を与える事と、社会参加である。

 

・政治的エンパワーメント

老い」は国によって、地域によって、人によって、定義が違う。

社会的には60ないし65歳と定義されているが、仕事のブロックの通り、現代は健康寿命が延びているので、社会的な引退を延ばしてもよいのではないかと思った。

 

【まとめ】

高齢者でも出来ることは多い。社会と関わることで、認知機能を維持できる。

また、子供と関わることによって相互に良い影響が生じる。

高齢者の在り方、働き方を変えることで高齢者の健康格差を縮めることができる。

これまでの章では「幼少期の生き方が大切」という内容だったが、老年期にできることが無いわけではない。

適切なアプローチがあれば、高齢者も社会において活躍できるので、物理的・心理社会的・財政的に介入していくべきである。

健康格差 第6章(福井👓チーム)

【日にち】5/7(月)19:00~22:30

 

 

【参加者】鈴木和先輩、加藤

 

 

【内容】

第1節

 ・p172、3行目 彼を制御し、彼の良心と・・・

   Q1)「良心」とはどんな意味でつかわれているのか?

      →ここはやはり、前回も出たように、原著と照らしてみるのはどうだろうか?

 ・p173、3行目 あの小さな機器が意地悪くビー!!と鳴る音だった。

   Q2)「選別係」の健康的な働き方とは何だろうか?

     →労働組合とかがある環境とかがそうなのではないか?

 ・p173 デスクワークでなくてよかった

     →よくない仕事の代名詞としてデスクワークが使われているのが意外だった。

   Q3)私たちが注文するからアランは苦しいのか?会社が悪いのか?

     →たとえ私たちがネットで注文しないとしても、他の面でのしわ寄せが彼に行くのではないだろうか?これは、日本でいうところのブラック企業のアメリカ版ではないか?

 

第2節

 ・疑問は特になし

 ・ダリットが1/6もいるというのは多いのではないか?

  →今インドが13.24億人としたら、2.2億人もの人々がダリットということになる・・・

   日本人よりもはるかに多いことに驚いてしまった。

 ・美容師さんになれてよかったと思う。

 ・意味がないと思われていた人生から尊厳のある人生になれてよかった。そう思うと同時に、他にもこういう可能性があるのではないかと感じた。

 

第3節

 ・紹介をしているという印象を抱いた。

 

第4節

 1ブロック 物理的

  ・p180 Q4)「不満の冬」とは?

       :以前あった労働闘争のこと。労働組合ストライキを起こした。

  ・p178 Q5)「3つ目」とは?

       :物理・心理社会・財政の3つ目という結論に達した。

  ・p181 Q6)「インフォーマル」とは?

       :非正規雇用のことではないか?正規雇用だと、事業主も大変だからではないか?

 2ブロック 心理社会的

  ・p181 Q7)未決書類入れは友達ではない、とは?

       :山がどんどん高くなることから未決書類入れは「嫌い=友達ではない」という意味ではないか?

  ・p182 コントロールできないことは相当ストレスがたまることだと思う。

  ・p184 家族だけでは社会的接触の不足を補えない

    cf)2万語以下の例:つまり、疲れすぎて家族とさえ話せていないということを表しているのではないか?

 3ブロック 財政的

  ・p186 図表6ー2

   :下位の男性所得が”-”なのは、減っているということ。一方、女性はすべてで”+”なのはなぜ?

  ・p185 意欲の欠如がどうこうではなく、低賃金、それこそが問題の根本である!

  ・p186 全体をUPさせることが大切なのではないか?

    cf)世界がもし100人の村だったら

     →6人が59%の富を持ち、その6人はみんなアメリカの人である・・・

 

第5節

 第1ブロック

  ・失業は精神衛生に悪い

   cf)p132 子どもにとってもっともよいのは共働きである・・・ということにも関与しているのではないか?

  ・ラルタの例

   →働く質は大切である!

  ・社会的保護って大切である!

 第2ブロック

  ・ニワトリが先か、卵が先か?

  ・圧倒的な根拠とは?

   →p30 Siegrist J, Rosskam E,…他

 

第6節

 ・労働組合が嘲笑の用語とは?

   →しるしをつけておくことにする。

 

第7節

 第1ブロック

  Q8)緊縮とは?

   :支出規模を減らす

    緊縮によって、失業が悪化してしまう・・・

  9)緊縮主義者・・・知的では窮地、政治と広報では勝利なのはなぜか?

  →利権のため?それで得をする人がいるのではないか?

 ・p194 最後

  Q10)それは抑えるべき、のそれとは何か?

   :緊縮財政のことではないか?

 第2ブロック

  ・p197 気になる傾向は

   →二極化していくということ

    今まさに問題になっている

    多国籍企業が安い労働力を求めているということ

  ・高所得から低所得へと、望ましくない仕事が輸出されてしまう現象も問題ではないだろうか?

 

【まとめ】

・1日の多くを仕事をして過ごすわけだから、裁量があり、適正な報いがあり、社会的にもつながりのある仕事であるべきである。

・失業の大きさから、社会的保護がいかに大切かということが改めて分かった

・医療:提供する側の健康もとっても大切なことである!!!!!

・どこかでくみ上げて、上につなげていけば、よりよいアプローチができることにつながるのではないだろうか?

 cf)ラマツィーニDrの話

 

 

【提案】話合いの時間を、疑問5分+感想5分にしよう!

 

 

【次回】5/26(土)20:00~

健康格差 第5章(福井チーム)

【日にち】4/24(火)20:00~23:40

 

【参加者】鈴木和先輩、加藤

 

【内容】

第1節

 ・p146 最後の行 これは「過激な考え方だ」とは?

   →他の人に相談する!または原著を読んでみる!

 ・女の人にも教育の機会はあるべき!

   →社会を変えるには教育が最良なのだから。

 

第2節

 ・教育が乳児死亡率に直結するのがここまでとは思わなかった。

  →まだ不平等があるのだと感じた。

 ・こんなデータがあるのに、女の人には教育は不要だと考えるのだろうか?

  →教育よりも、目の前のごはんや薬にかかるお金に消えていってしまう・・・

    :貧困が視野を狭くする!

   強制的に教育を受けさせるのが良いのではないか?

 

第3節

 ・出生率

  →子どもを6~7人無計画に生むというのは、子どもを老後の保険とみなしているのではないか?果たしてそれは良いことなのだろうか?

 ・出生率が高いことは、そもそも悪いことなのか?

  →日本ではむしろ低いことが問題とされている。

   不健康な国は初等教育を受けていないことが多く、出生率は高い傾向にある。

  →計画的に子どもが授かればよいのだが・・・。

   幸せ家族計画!

 

第4節

 ・アメリカの男性の差

  :なぜ教育を受けるほど差が広がるのか?

   →データとしては、白人男性の67年が外れ値なのではないだろうか?

 ・p154 最高の教育を受けられる人は存在する

  :どの国に住むかはさほど問題ではない!

   →どの国に住むにせよ、教育の上下による差は縮めるべきなのである!

 

第5節

 ・教育がないと、女性はさらに傷つきやすくなる。そんなのはおかしいではないか。

 

第6節

 ・HDIとは?

  :所得、教育、平均寿命

 ・所得の不平等はHDIに大きな影響を与えない

 

第7節

 ・フィンランドの土壌はどうやって作られたのか?

 

第8節

 ・p163 後ろから9行目の意味は?

  →学校の優先順位が高くないこともあるのか?

 

第9節

 ・意外な結果だと感じた。環境が整えば、女性はより能力が発揮されるのかもしれないと感じ、嬉しく思った。

 

第10節

 1ブロック

  ・乳幼児期の言葉かけ、学童期前の働きかけなど、親の占める責任は大きいと感じるとともに、親へ改めて、感謝の気持ちがわいてきた。

 2ブロック

  ・条件が核心をついていない?

  ・教育の質の向上が大切であり、その大切さを理解できるかどうかで効果が異なってくるのではないか?

 3ブロック

  ・教師の地位を向上し、教育の質をUPさせることが大切ではないだろうか?

  ・p169 後ろから3行目

   :その通りだと感じた。

 

 

【まとめ】

・以前から話していたことでもあるが、とにかく教育は大切である。

・性差別・人種差別・カースト制度など、社会的弱者にエンパワーメントを与えるために、教育はとても重要である。教育がなされることで、全体を引き上げるポピュレーション戦略にもつながると思う。

・日本の教師の地位があまり高くないのは、教育が軽視されている結果なのではないだろうか?

・教育が生死にまでかかわってくるのは驚きである。

・質の良い教育を、ちゃんとした手順ですることが大切である。

・教育が健康を生み出し、健康が教育を生み出すのである。

 

【次回】5/7(月)19:00~

3分でわかる!『あなたが救える命』


The Life You Can Save in 3 minutes by Peter Singer

功利主義の立場から「豊かな国の人々は、自分の生活が深刻に害されない範囲まで、最貧困国の人のために寄付をするべきである」と説いているピーター・シンガー『あなたが救える命』の紹介動画です。簡単な英語ですが、動画のスクリプトを翻訳してみました。ざっと読んでから動画みるといいかも。

 同じ名前のWebサイトへのリンクが動画の最後に貼ってあります。寄付の誓いをたてたり、「いくらで何ができるか」を知ることができたりします。

  

---以下、翻訳---

 

あなたは、仕事に行く途中、池のそばを通りがかりました。

驚いたことに小さな女の子が池で溺れていました。

あなたは周りを見渡します。「親はどこだ!?」

しかし、そこには誰もいません。

 

あなたは、彼女を助けるために池に入りますか?

「もちろん」とあなたは答えるでしょう。

 

しかし、待ってください。

もしあなたがお気に入りの靴を履いていて、池に入ることでそれを台無しにしてしまうとしたら、どうでしょう? しかも、高額な靴です。

 

「靴なんか人の命に比べたらなんでもないものだ」と、あなたは答えるでしょう。

 

しかし、待ってください。

その子どもの溺れている池がアフリカにあったとすればどうでしょうか。

あなたは答えを変えますか?

 

もし、その子どもが死にかけていて、その原因が、彼女の親が下痢に対する簡単な治療さえ与えられないほど貧しいことだったとしたら、どうですか?

そして、あなたが、靴に高額なお金を払う代わりに寄付をすることで、彼らにその治療を与えることができるとしたら……

 

これは「仮定」の話ではありません。

今まさに子供達は死んでいってます。

そして、この死は防ぐことができます。

 

あなたが命を救うことができます。

(すでにお持ちのお気に入りの靴は捨てなくてもいいですよ。)

 

疑念を晴らしておきましょう。

 

『援助は本当に効果的なのか?』

『依存を強めるだけじゃないのか?』

『無駄になるんじゃないか?』

 

『貧困は底なし沼だ!』

『貧困は無くならない!』

『援助なんて無意味だ。』

 

『援助なんて焼け石に水だ……』

 

これらの手強い問いには少し長い答えが必要です。

しかし、ここでは短い答えを提示しましょう:

 

もし「焼け石に水」だとして、その「水」であなたの子どもが救われるとしたらどうでしょうか。その「水」を惜しみますか?

 

毎日、援助によって、実際に一つ一つの命が救われています。

名前を持った人が、その人が生きていることで喜ぶ家族がいる人が、救われています。

 

もしあなたが救われる側であれば、あなたは援助が無意味だなんて思わないでしょう。

 

『あー 罪悪感を抱かせて操りたいわけね』

 

いいえ。いいニュースがあります。

 

貧困は終わらないものではありません。

世界の貧困を半分にするために必要なお金は、年間約1250億ドルです。

これっていくらくらいでしょうか。

例えば、アメリカ人がお酒に使っているお金は年間約1160億ドルです。

 

それでは、あなたは貧困撲滅のためにいくら寄付をするべきでしょうか。

収入の50%を寄付するべき?25%?5%? それか1%?

(私たちのサイトで、収入に応じたおすすめ寄付額が計算できます!)

 

私たちは助けになるべきなのです。

そして、私たちは、自分の家族を犠牲にすることなく、助けになることができます。

 

さあ、やりましょう。今日から。ともに。

誓いましょう。何千人もの人が誓いを立てています。

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The Life You Can Save - Top Recommended Charities for Effective Giving

 

#より「長い」議論を知りたい人はこちら

あなたが救える命: 世界の貧困を終わらせるために今すぐできること

あなたが救える命: 世界の貧困を終わらせるために今すぐできること

  

『経済政策で人は死ぬか?』第3章

担当:東

1997年 アジア通貨危機

IMF世界銀行はアジアやアフリカでも急進的な緊縮政策を推している。1990年代のアジア通貨危機においても、東アジアに対して、医療や社会福祉を含む政府支出の大幅削減を条件に、融資を行った。結果、緊縮を選択した国では、肺炎、結核HIVなどによる感染症死亡率が上昇した。

 

アジア通貨危機とは:

もともと1980年代に香港、シンガポール、韓国、台湾など東アジアの新興市場が世界中から不動産投資の対象になり、東アジアは著しい経済成長を遂げていた。しかし、90年代後半、住宅の売れ残り、ヘッジファンド空売りにより、金融危機が発生し、通貨が暴落した。通貨の暴落は、食料品価格の高騰につながり、各国で貧困率が急上昇した。例えばインドネシアでは:1997年 15% →1998年 33%。 

(要約自信ないです。アジア通貨危機 - Wikipediaの方が正確かも……)

 

東アジアの自然実験

金融危機に対して、タイ、インドネシア、韓国はIMFの条件を飲んで、融資を要請した。一方で、マレーシアは、自国のセーフティネットをむしろ強化し、市場に国が介入する独自路線をとった*1

4国はいずれもGDPが15%-30%の低下に見舞われていた。緊縮を採用した国では貧困率が軒並み2倍になった。一方で、マレーシアの貧困率はほぼ変わらなかった。

タイ、インドネシアでは食料価格、燃料価格の急騰で、栄養失調による死亡率の上昇、乳児死亡率の上昇、感染症死亡率の上昇が起こった。

 

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Infectious disease mortality rates, Thailand, 1958-2009. より

 

削減された医療費

タイは1980年代からHIV感染者が急増しており、1994年の調査では新規発症者が10万人、性労働者の1/3がHIV陽性だった。感染の97%は性労働者経由であったため、政府は都市部の売春宿に無料でコンドームを配り、着用させるキャンペーンを推し進めた。すると、またたくまに、性労働者の新規感染者が1%以下に減少した。

ところが、アジア通貨危機後の緊縮策によりHIV対策費は予算削減され、HIV患者が増加した。そして、様々な感染性疾患を合わせた死亡者数は上の表のように増加していった。

一方で、マレーシアは、医療費支出を増加させ、医療機関への受診率増加が18%増加した。タイにならったHIV対策にも予算を組んだおかげで、他国のようにHIV感染率が上昇することはなかった。

 

景気回復

もっとも早く景気回復をしたのはIMFに従わなかったマレーシアで、次はIMFにある程度譲歩させた韓国だった。IMFの条件により忠実に従ったタイ、インドネシアは景気回復が遅れた。

IMFの中でも東アジアへの介入に対する間違いは認識されてきており、2012年には、IMFの理事から、東アジア諸国に対して、IMFが指導した緊縮政策と自由化による予想を超えた経済損失に対する謝罪が行われた。

 

第一部担当感想
  • だいたいIMFが悪い。以後の章でも悪さをするので要チェック。
  • 「限られた医療費のなかで効率的な運用をしていくべき」というのは反論の余地がないが、その論に乗ると、どうせそんなに「効率化」できないのだから、結局致し方のない医療費削減を肯定することになりそう。であれば、防波堤として、本書のような大局的な見方を踏まえて置くことが大事だろう。
  • 最近、ひとり親世帯の生活保護費の全体的な切り詰めが行われたが、生活保護費についても「出すほうが、地域経済が回る」(受給させた方が当人の健康にも経済にもgood)と論じることができる(貧困と生活保護(43) 生活保護費は自治体財政を圧迫しているか? : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞))。まあ、本書の関心である国の財政支出と自治体財政では事情が違うけど、一つ参考になる事実ではあろうだろう。

*1:福富:どんな思惑でIMFの提案を受け入れたり拒否したりしたんだろう?

東:あんまり詳しくは書いてなかったね〜。マレーシア首相は「緊縮は効果的ではないし、不道徳だ」と言って拒否したらしいが…。本書では緊縮叩きをしているけど、一応、一定勢力が支持している立場だし、「お金ないから締め付けねば」というのは自然な発想ではあるし、融資もらえるし、まあ、明らかに不合理な行動というわけでもない、とは思う。

『経済政策で人は死ぬか?』第2章

第2章ではソ連崩壊後の市場経済への移行による健康への影響をみていく。

元になった論文は、こちら

 

ソ連崩壊後の死亡危機

ソ連崩壊後、男性の平均寿命は1991年の64歳から1994年の58歳へと縮んだ。

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ロシアの死亡動態再考(雲和広)より

 

このような結果は決して必然ではなく、回避できるはずのものだった。共産主義体制崩壊後に死亡危機()が発生したのは、資本主義への移行そのものではなく、移行の具体的な方法に原因があった。

 

ロシアの死亡危機の特徴は、生産年齢の男性に集中して死亡率が上昇していたこと。

特に25歳から39歳までの男性では、ソ連崩壊前後で90%の死亡率上昇となっていた。

上昇していた死因は急性アルコール中毒、外因死、急性心不全だった*1

 

ロシアで何が起こっていたのか?

経済:GDPは三分の一以上縮小。1994年には人口の4分の1が1日2ドル以下での生活を強いられていた。IMF世界銀行主導の急激な市場主義化=価格の自由化と民営化が行われた。ジェフリー・サックスはこの指導を「ショック療法」と称した。セーフティネットが崩壊。

「ショック療法」には共産主義時代の国の統治構造を壊すという狙いがあったが、内部関係者が裏取引で、国有企業を引き継ぎ、事業に投資することなくもなく、ただ資産を剥奪し、スイスの銀行口座の残高を増やしただけ…ショック療法を選択した国では、一人当たりGDPの増加が16%落ち込んだ。

アルコール政策の変化:1985年ゴルバチョフアルコール依存症撲滅キャンペーンが行われた。前表での平均寿命の伸長はおそらくこの政策で説明できる。しかし、国民には不評であり、1987年に打切り。再度平均寿命は低下した。1991年以降の死亡についても、アルコール関連死の増加で40%の死亡率上昇が説明できる。

 

失業率の増加:失業者は就業者と比べ6倍の死亡リスクがあった。失業すると社会保障から一切切り離された。

 

この死亡危機は避けられないものだったのか?

回避しえた。

というのも、同じ同盟国の中でも、ゆっくりとした市場化を進めた、ポーランドベラルーシスロベニアチェコでは死亡率の上昇がみられなかった。

一方で、ロシアと同様に急進的な市場化を行った、カザフスタンラトビアエストニアでは、ロシアと同様の死亡率上昇傾向がみられた。具体的には、ロシアやカザフスタンソ連崩壊前後で18%の死亡率上昇した。 

癌などの短期的な変化で変わらない疾病についてはこのような死亡率の変化はなく、自殺、心臓疾患、アルコール関連死が鋭敏に反応していた。数字でいうと、10万人あたりそれぞれ5人、21人、41人の死亡数増加となった。

この死亡率上昇は、経済規模の違い、各国の経済動向、過去の経済危機、民族紛争や軍事衝突、都市化の度合い、外国からの直接投資などなど様々な要因を調整しても一貫した傾向だった。

つまり、それぞれの群における違いは、市場化を漸進的に行ったか、急進的に行ったか、という点だけだった*2

 

ロシアは現在も経済の停滞が続いており、生産年齢男性の死亡率は高く、結核や多剤耐性菌の感染率上昇などもみられる。ショック療法の失敗は明らかだ。

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*1:東:アルコールとうつ病、自殺の関係については本ブログでも以前に取り上げた。沖縄のアルコール問題 - 健康格差読書会

*2:別の地域・時期になるが、中国も斬新的な市場主義の導入で経済成長、平均寿命が伸長。